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私たちの追跡  Vol,2

サッスーンのヘアカットは建築からインスピレーションを受けたと言われる。

髪型でも、フォルムやアングルが重要だと考えた。

 

 

その影響を紐解くと、近代建築の巨匠の一人

建築家ル・コルビジェに出会う

 

 

コルビジェは建築と建物の違いは何か?

という問題を探求しひとつの指標線(基準)として

モデュロールを発明した

 

 

 

 

「モデュロールは、人体寸法と数学とから生まれた、

寸法を測る道具である・・・・数学的には最も簡単で、最も力強い変化を与えている、

それは単位、2倍、黄金比である・・」

 

人は、ものを測るとうことを、昔からしている

 

日本の大工さんは曲尺という、直角に曲がった道具を使い建築する

この”直角”という概念は建築にとって

 

 

「啓示~revelation~」

だとコルビジェは言う

 

 

啓示とは、キリスト教では

人知で分からないことを、神が現し示すこと

 

そして”直角”という言葉の解釈をコルビジェは

デミウルゴス的に意味付けした

 

古代ギリシャのプラトンは

世界の形成者である人格神を

「デミウルゴス」と呼んだ

 

無から有をつくるキリスト教的な神ではなく

素材を使って世界を創造する神

 

モデュロールの数学的秩序を与える黄金比の由来は

コルビジェの図形的操作にあるという

 

コルビジェは、

ローマにあるカンピドリオ広場(ミケランジェロ作)

に隠された「直角」の意味を発見した

 

 

そしてフランスの土木技師ショワジーの「建築史」から

”直角”の意味を確認している

 

図形的な”直角”は、幾何学の位置関係ではなく

 

直角はかたちを生み出すような

一つの原理を意味する

 

 

サッスーンのヘアカットのプログラミングは

”直角“を多用してデザインされている

 

 

また、コルビジェはモデュロールを音楽になぞらえた

 

 

古代ギリシャの数学者、ピタゴラスの考えた音階(ドレミファソラシド)の構成が

空間構成の方法と同様だと考えた。

 

 

音階の構成には普遍性があり、

変貌自在に作られていることに根本的な意味を見出した

 

そして、モデュロールという寸法構成の方法は、

彼の建築思想に決定的な意味を持った

 

 

いつの時代も人は、何かを表現する。

そして、その表現を支える、思考の源泉がある。

 

 

そして源泉への旅は

私たちの追跡の

醍醐味の一つ

 

 

つづく