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私たちの追跡 Vol.6

子供の頃、物をたくさん持つことや所有することは

豊かさの象徴だった

 

少ないことから抜け出すことは

たくさんという価値を手に入れること

 

だけど、庭に咲いた花を

小さな器で愛でることは

昔から日本の生活にはある気持ちの豊かさ

 

 

コルビジェさんと並び

20世紀に活躍した近代建築家

ドイツ出身のミース・ファン・デル・ローエさんが残した言葉を想う

 

less is more

少ないほうが豊かである

 

simple is best を追求することは

美しく豊かな空間が生みだす

 

ミースさんの言葉には

もう一つ有名な言葉がある・・・・

 

Got is the details

神は細部に宿る

 

 

 

あえてたった一つの断片から

時代を探っていくことでシンプルに見えてくること

 

絵を描くということについても

 

宗教的なテーマや祭事を描くことが絵を描くことであった時代や

その時代の考えや行動指針となること

様式を描くことが絵を描くことだった時代

 

 

そう言った様々な時代の移り変わりがあって今がある

 

セザンヌさんのいた時代は

絵を描くことの中に、個人の表現を求めた

 

 

そんなセザンヌさん自身が表現を創り上げる上で、学んだ古典の一つが

17世紀古典主義のニコラ・プッサンさんの作品からだった。

 

 

 

水平、垂直というシンプルな構図により

安定した空間を生み

その安定に基づき描かれた対象は

画面上に調和、バランスをつくりあげる

 

絵の骨組みとなる構図(ライン取り)を決定するために

デッサンを念入りに行い

慎重なプロセスを経て完成まで進めていったという

 

公園のシーソーのように

バランスには静の力と

動の力のバランスがあり

まっすぐは安定をつくる

 

 

プッサンさんは水平と垂直という安定した構図をつくることで

静のバランスをつくり

 

その静のバランスを崩すことで生じる

動きの力を匠につくりあげている

 

 

プッサンさんの制作の関心は古典古代の美術だった

そしてそれを前世紀に蘇らせたのが

ラファエロさんの芸術だった

 

 

 

 

 

だけど、プッサンさんの古典主義はラファエロさんを礼賛し

真似ることではなくプッサンさんが生きた

17世紀の時代に求められた表現だった

 

 

プッサンさんは単に古代美術を真似するのではなく

制作において深く考え、心の感じた働きを大切にした

 

衝動的、直接的な模写を行うのではなく、

観察

研究

分析を徹底した

 

 

セザンヌとプッサン

 

 

 

 

 

プッサンとラファエロの関係は

古典という歴史的過去と

現在に対する

スタンスに共通する何かがあり

 

”自然へのアプローチ”

が似ているのだと思う

 

 

同じ時代を共にしていなくても

探求する者同士に共鳴する精神の態度は

時が経っても心が響きあう

 

 

古典主義は

一つのことを徹頭徹尾

探求することで身に付く

 

表現の世界へ

 

導いてくれる

 

 

 

続く