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私たちの追跡 Vol.8

世界のトッププレイヤーが活躍するその姿の裏には

常に惜しみなくエールを送る人やその土壌がある。

 

そんなバックグランドを踏まえて物事を見る・・

これも私たちの追跡である”超主観的古典主義”の醍醐味

 

 

 

レオナルドさんやラファエロさんが活躍した15世紀のイタリア、フィレンツェ。

 

中世以来、地中海という海、

シルクロードも含め、人々は交易をして経済も文化も繁栄させていた。

そしてイタリアは、東洋と西洋のちょうど中間・・・

 

 

 

フィレンツェは、イタリアよりも北の地域と東方との

中継商業と毛織物業の街として、

14世紀には経済的に強力な基盤を築いた。

 

 

キリスト教世界では、そもそも利子を取ってお金を貸し付けるということは禁じられていたという。

 

巨額のお金が遠方との間で取引されたり

違う貨幣を両替したりということが必要になり

大都市に銀行の原型となる組織が誕生した。

 

フィレンツェがルネサンス発祥の地と言われるようになった理由の一つには、

そのような経済活動による豊かさがあった。

 

その象徴的な存在が金融業などで財をなしたメディチ家だった。

 

 

 

文化や才能の開花には

そうした経済の力と時の権力者の意向が大きく影響するのだと思う。

 

 

そんな時代の実力者、メディチ家が注文主だった工房が

ヴェロッキオさんの工房だった。

 

 

 

 

アンドレア・デル・ヴェロッキオ。

 

自らの名前を使用して芸術家として自立したのは、1465年頃・・・

 

ヴェロッキオさんは当時30歳前後

 

フィレンツェにあるサン・ロレンツォ聖堂は、メディチ家の墓所がある由緒ある教会。

ヴェロッキオさんは、この教会の聖具室やメディチ家の当主たちの墓所の制作を請け負った

 

 

 

それはつまり、30歳を迎えようとしていたヴェロッキオさんが

名実ともにフィレンツェを代表する芸術家として名を成していた証拠でもあった。

 

現在に残るヴェロッキオさんの代表作の大半が、こうした富裕層からの依頼であった。

 

 

ヴェロッキオさん自身の名声とともに

工房も活気を帯びフィレンツェでは知らない人がいない存在に成長していた。

 

工房にはラファエロさんの師匠であるペルジーノさんや

ミケランジェロさんの師匠であるギルランダイオさん

ボッティチリさん・・

 

 

ヴェロッキオさんはルネサンスのスーパースター達に影響を与えていた。

 

 

当時ヴェロッキオさんの工房は

最も権威ある美術家育成の場であったと言われる。

 

ヴェロッキオさん自身

画家  彫刻家  金工家  鋳造家

 

 

さらには

建築  製図  機械工学  数学  音楽の才に恵まれた。

 

 

そんなヴェロッキオさんを友人に持っていたのがレオナルドさんの父だった

 

少年時代のレオナルドさんの才能と神童ぶりに気づき

入門させたのがレオナルドさんが14歳くらいだと言われる。

まさにレオナルドさんには理想的な人だった。

 

 

2019年〜2020年の1月頃

アメリカのワシントンDC,ナショナルギャラリーで、

ある美術展が開かれた。

 

それはヴェロッキオさん(Andrea del Verrocchio)の特別展だった。

 

 

 

2019年はレオナルドさんの生誕500年もあって世界中で

レオナルドさん関連の特別展が開催されていた。

 

 

ヴェロッキオさんはルネサンスアートに大きな影響を与えた人物。

 

そしてここ数年、世界の教育では

リベラルアーツ教育を重視するようになってきた。

 

このリベラルアーツは、

ルネサンスが再興した古代ギリシャの教養の基礎であり

古代の人たちが学んだことだと言われている。

洋の東西問わず、そういった古代の人から学ぶことは

最近の教育のトレンドのようだ。

 

 

古代ギリシャの学びは

自然学・天文学・修辞学・論理学・数学

幾何学・音楽・建築・造船・芸術・哲学など多種多様・・・

 

その全ての基礎をなすものが

数学、音楽、幾何学、天文学

論理学、文法、修辞学

 

古代ギリシャのピタゴラスさんは

「万物の根源は”数”である」として

ピタゴラスの定理を見つけた。

 

 

そしてピタゴラスさんは”数”を利用して

音楽の基礎である音階を発見した♪ ♬

 

そして”数”から生まれた音階によって

ハーモニーという美が生まれた。

 

建築からインスピレーションを得たというヘアカット。

 

その方法論にもリベラルアーツの基礎となる幾何学がある。

 

そういった先人の考えを知ることは

複雑化し多様な情報社会を整理してくれる

一つの道具となる。

 

 

ヴェロッキオさんは、この道具を使える職人(アーティスト)

を育て上げた素晴らしい人だった。

 

 

 

続く