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私たちの追跡 Vol.25

12月・・・今年は数年前にお客様からいただいたスズメウリから、たくさんの実がなりました。

こちらに来てからはじめて知ったスズメウリは、オキナワスズメウリというらしく、もともと熱帯地域で育ち、食べることができないらしい・・ハブにやられた時の毒抜きとして使っていたんではないかとお客様に教わった・・・

 

 

自然は不思議なもので、色も形も性質もディテール全てに生物として役割を持っている。

「神は細部に宿る」というけども自然の佇まいからは、その独自性を教えられる・・・

 

 

古代ギリシャが理想とした秩序ある調和の世界は自然観察を通じて模倣することからはじまった。

そこから理想に近づくための考えとして数学的、幾何学的方法が用いられた・・・

古代ギリシャの数学とは図形を使う幾何学で考えられていた。

 

 

タレスさんが古代オリエント、エジプトから学んだ幾何学、

その幾何学を使って、ピラミッドの高さを、その影の長さで測定した。

 

 

 

 

 

「ピラミッドがつくった影の端に一本の棒を立て、太陽の光線が地面に当たって二つの三角形ができた場合ピラミッドの影が棒の影に対してもつ比を、ピラミッドは棒に対してもっていることを、タレスさんは証明した

そしてピラミッドの高さに対して正方形の中心からの底面の長さから、斜面が底面となす角度をはかった・・

 

 

「半円内の角は直角である」 タレスの証明

 

そのタレスさんからピタゴラスさんも影響を受け、音階という調和の存在を発見し、たくさんの定理を証明した。

 

「ピタゴラスの定理」

 

この中でヘアカットにも共通する3つの幾何学は、水平線と垂直線と直角

 

その3つをつくることで、自然と出てくるもう一つのラインが斜線という斜めのライン・・・

太陽と自然にできるピラミッドの影から、斜面の角度や比を正しく導くには

高さを垂直に保ち、底面を水平に保つことでできる”直角”によって”三角形が自然”に出来上がる・・・

 

私たちの追跡も今回で25回目・・

 

ここでようやく自然につながったことは、コルビジェさん、セザンヌさんも、ラファエロさんも、ダヴィンチさんも

みんな水平、垂直、直角から生じる三角形を使った試みをしていたこと・・・

 

セザンヌの水浴図

 

ラファエロ作

 

ダヴィンチ作

 

ル・コルビジェ作

 

空と地面、太陽や影、森や海、母なる大地、いつの時代にも人にとって大切な自然はたくさんのタネを

与えてくれる。垂直や水平、直角も自然を模倣した理想の世界から生まれたのだと・・・

 

 

「超主観的古典主義の視点から重ねてみたヘアカット」

 

 

先日、お客様から「いい記事だから読んでみて」と言われた婦人画報12月号の記事に

養老孟司さんの文章があった・・・

 

・・・人間が心身にバランスをとるには自然の中に身を置くことが大事。

それは人類がどのように誕生したのか、考えてみればわかることです。

人間の源流は自然、人間は自然の一部です。

人間は自然がなくては生きていけません。

世界遺産の認定によって、多くの人が残すべきものについて考えるきっかけができました。

その自然を経済の餌食にせず、守る方法も見つかると思います。子供や孫、その先ぐらいになるでしょうが、

その時、未来の人はいかに自然が大事なものか実感することでしょう。遺産とはそういうものです・・・

 

茨城という場所に来て、

いつも自然の中に身を置いている地域の人や

古代ギリシャの人から

遺産との向き合い方を教えてもらって、感じ方が変わってきた・・

 

そのおかげで、

調和感が深まり可能性の選び方、希望へのアプローチが根本的に変わり

追跡が広がっていく・・・・

 

 

 

 

 

 

 

続く