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私たちの追跡 Vol.28

冬至が過ぎると、ほんの少しずつだけど明るい時間が長くなってくる・・・

今週末はクリスマスと年忘れに包まれる人も多いのだろう。。

 

 

「私たちの追跡」を書き始めてよかったことは、あっという間に過ぎていく日々を振り返り、立ち止まり、

また明日へ進んでいく循環ができたこと・・・

 

時をためること。

 

12月は1年を振り返り、掲げた目標をチェックして、俯瞰的に眺めてサロンワークを過ごしてみる・・

目標に対して、どれだけ集中し意識して過ごせたかによって、体に身についたことや、無意識にできるようになったことを顕在化したりして客観視していく・・

 

例えばお客様に描くヘアデッサンは、1年の中でかなり変わる。

字を書くことと似ていて描けば描くほど変わってくる・・・

 

闇雲に描くのではなく、吸収したことを意識して描くことを繰り返すことで具体的に見えてくることが変わる。

大谷さんは後半戦厳しい勝負球を投げられたりした時に、バッターボックスに立ちながら、ストライクとボールを見極める選球眼を養っていたという・・・

後半戦は名投手達が徹底的に大谷さんをマークし、四球や厳しい内角攻めをして打たせなかったが、それをチャンスと捉えて、選球眼の練習をしていたとは本当に恐れいってしまう・・・

 

大谷さんを見習えば、美容も視覚的なバランスの選球眼とそれに見合った手の動きが融合し、芯を食った技術によって、どんなお客様でも可愛く、素敵にする確率をどんどん上げることで、自分が上手くなっている実感につながる。

 

写真家のアンリ・カルティエ・ブレッソンが「目と頭と心の照準」とうまいこと言ったように、目だけで追いかけたらわざとらしくなるし、頭を使い過ぎても技巧的になり過ぎる・・・・

その調和された表現を自然にできるようにする。

 

”技術と人間性”が合わさって「芸」になると日本の能や狂言では言われている・・・どんな役を演じるのであってもそこに「美」を感じさせなくてはいけない・・それが技術としてあらわれるのが「高さ」であり、精神性や表現力としてあらわれるのが「深さ」なのではないか・・・・そんな能楽師の話しがあった・・・・

 

 

さまざまなイノベーションが起きて何かいいものができるのではなく、何がいいかが変わる時代に、

日本は資源もない、軍事力もない・・・・・・

国際的競争力を考えたとき「技術×文化」で勝負していくしかない・・・・

 

 

日本の固有性やその地域の固有性、日本人の特徴・・・そういうことが文化につなっがていくのだと思う。

 

他の国にはない固有性が、世界にとっての広がりを持たせるヒントとして見てもらうことが世界への貢献につながる。

 

コロナというプレッシャーの中、本来日本人の良い特徴である他者への「共感性」が

「同調圧力」という違った角度からの共感によって、村八分、差別を生む状況になってしまった・・・

 

社会的距離「ソーシャルディスタンス」という言葉を初めて使ったと言われる「かくれた次元」の

著者エドワード・ホールは、人の社会的距離は「インボルブメント(自我関与)効果」の度合いによって人のソーシャルディスタンスが変わると言っているように、自分が関わった事柄、仕事には意味を感じ、やる気も起こすということ。

自分自身がどのようにして世界と関わっていくかによって、時代や社会との距離感が変わってくる・・・

 

日本人の共感性の源を考えると、やっぱり自然との距離感によって育まれてきたように思える・・・

だけど60年代〜70年代の経済成長によって、自然との共生や里山的な環境によって育まれた日本人の共感、共生能力は急速に失われていった・・・

現代になり、ようやく地球環境の方に目を向ける風潮になったけど、自然は環境は人にとって居心地の良いことだけでなく、恐ろしさや想定外の災害も引き起こす。

 

肌で感じる感覚・・・・

 

自然と共生するには、排除するのではなく受け入れる。それが”手入れ”だったのだと思う。

そうしてその手入れのアイデアが育まれていき、その地域ならではの固有性が生じた・・・

 

固有性のことを思っていた時に、ル・コルビジェさんのピュリズムで

書かれていたのが「普遍性と固有性の調和」だった・・

 

超主観古典主義でヘアカットの生まれる前の時代に戻り学び直すことで、古代ギリシャからコルビジェさんまで続く

共通感覚(コモンセンス)を追跡したことは、剽窃できるまでは浸透させ発酵していく時間が必要だと思える

 

来年以降じっくりと向き合っていきたい・・・・・

 

また少し視点を広げてみてみると、古代ギリシャから続く西洋の数学や科学的な哲学に対して、

東洋思想は孔子や孟子、荀子などは「命を喜ばす」ことを説いているという・・・・

 

現代を考えると、西洋と東洋の知の融合は必要不可欠な時代・・・・

 

美容という部分から、西洋にみる哲学的で科学的な技術の基礎を整理しつつ

東洋的な人間として生命を喜ばす学びをしていく。

 

そうした洋の東西を問わず広がりを持つことで、縦のつながりが見える。

そして自分たちの足元の歴史を固有のものとして受け入れることで横のつながりができ、

現代的な多様性という表現ができてくる。

 

自分らしく、地道に進んでいくうちに、知らないうちに人の役に立っていれば・・・・

 

そんな表現を求めて・・・・・1日1日すごしていきたい・・・

そう思えた1年だった

 

 

今年も1年ありがとうございました。

 

 

 

来年も私たちの追跡よろしくお願いいたします。

 

 

 

 

 

新年の私たちの追跡は1月14日より

 

続く