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私たちの追跡 Vol.29
虎千里のように
千里行って、千里戻ってくる・・・行動力があふれだす年。
そんな心構えを持って、私たちの追跡2022年
よろしくお願いいたします。
ヘアカットが生まれる前の時代に戻って学び直すと言う・・・超主観的古典主義を通じて、
「きちんと物事を見て、きちんと考える」時間を持つことは、サロンワークの空間に気持ちいい風を運んでいる。
お客様にもてなす”間”がそれまでとは少しずつ変わってきて、余白みたいなものが出てきた。
そのおかげで、身の上話を聞くことが多くなった・・・面白い変化だと思う・・
古代ギリシャまで追跡していくことで、
”過去はいつも新しい”ということを実感できた。
気がついたことは、さまざまな美術の表現や考え方は
アナロジーだと言うこと・・・
アナロジーは異なる物事から似ている点を探し押し量ること、類推すること。
アナロジーは古代ギリシャ語で比例を意味するアナロギアーに由来する・・・
例えばアナロジーは使って書かれたテキストや表現は単語や要素を入れ替えれば
共有されやすい、ある種のパターンがあると言うこと。
例えば、古代ギリシャ風の自然で秩序ある調和は、写真1〜写真4のように
正方形から軌跡が生じる・・・・・
同じ比例関係で大きくしたり小さくしたりしながら回転していくと、
その軌跡は螺旋になる。正方形の黄金比を使った回転を基本としてできた軌跡が対数螺旋となり
”自然な流れ”がかたちとなってあらわれる。
この自然な流れは音楽で言えば心地よいリズムということ。
音楽では振動数が1:2の関係にある2つの音を、完全8度(オクターブ)と言い
振動数が2:3を完全5度とし、心地よく響く音程は比率からきていると言うことを
古代ギリシャのピタゴラスさんは発見した・・
そういった1:2、2:3、3:4などの比率から生まれる音の響きは人に心地よく感じることから
この世の宇宙の調和を表現するものとして考えていた。
その考え方は絵画や建築などにも影響を与え、ルネサンスで再生され現代にもつながっている・・
私たちが普段描くヘアデッサンの土台は、元々が縦と横が調和する比率になっている。
これをベースにしてヘアデザインがつくられるから、ちゃんと描ければ、調和をつくることができる。
主観的追跡は自分で考え、自分でたどり辿り着く力を養うのにはちょうどいい・・
誰かに教えてもらうことは「形」であって中身や内容ではないと言うことがよくわかる。
主観的追跡の面白いところは、中身や内容からつくっていく学び方で「形」はその後・・・
「先生のやるとおりに写しなさい」と言う教育は形式を重んじた・・・
それはそれで”再現する技術”を伝えるためには合理的だと思う。
どこかでそれ以上マネのできないポイントに到着し、そこから先を
「個性」と呼んだのだと思う・・・
逆に言えば形式があったから、その教育が成り立っていたのだと思う。
今私たちが超主観的古典主義でやっているのは、形式がなくなっていく現代のような時代に、
より汎用性の高い「型」を抜き出し、共通感覚としての基本の確認をしていく。
その共通感覚の技術の上に、自分自身の表現が磨かれていく美容が面白いと思う。
表現は自分自身の感動した気持ちを伝えること。
「丁寧に見る」ことを通じて、発見の鋭い喜びを
どう表現していくか?
今年は、そこも踏まえて追跡していきたい。
続く
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