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私たちの追跡 Vol.30
地球は地軸(自転軸)を23.4度傾けながら太陽の周りを回っているという・・・・
そのため太陽の周りを一周する間に北半球が太陽の方を向いている時期と、南半球の方を向いている時期とが半周ずつ交互にやってくる。
北半球において昼が最も長くなる時を「夏至」、
夜が最も長くなる時が「冬至」。
冬至から夏至に向かう中間点にあるのが「春分」、夏至から冬至に向かう中間点が「秋分」。
夏至と冬至を合わせて「二至」、春分と秋分を合わせて「二分」と言い、
この四点を「二至二分」と言うらしい・・
これは、地球が太陽の周りを公転する一周を二十四分割した「二十四節気」の基本軸となる四つの説目。
今日は大寒。
二十四節気のように地球という円を季節の流れによって分割するのに基本軸があるように、
名画の構図にも基本となる調和分割があるらしい・・・
巨匠たちは、さまざまな方法で、この基本原則を応用していた。
最もよく使われているテクニックの一つは
主題やオブジェクトを特定の調和分割の位置に置くというもの。
もう一つは、人物の目の位置を調和分割に合わせる方法。
もう一つは、長方形の構図線に沿うように人物を配置する方法・・・・
もちろん、ここに挙げた以外の方法で分割されていることも多くある。
調和分割(私たちの追跡Vol29参照)の使用法を学ぶのに最も効果的レッスンは
過去の巨匠の構図を研究すること。
1枚目の絵画はセザンヌの「カード遊びをする人々」・・
帽子をかぶり、向き合う2人の男性は手にカードを持っている・・
体のサイズに対して顔のサイズが妙に小さい?
男性の腕から肘、手にかけての角度が直角に近い角度に見える?
よく観察しながら・・・
基本的な二等分割線をイメージして引いてみる
その次に対角線を引いてみる・・
・・・・
これらの線は配置されたモティーフの基本的な流れに作用しているように見える・・
目線や手、腕の角度、大まかな構成が見えてくるような感じがします・・・
セザンヌもある程度計算に基づいて最初から構図を決定していたように想像できます・・・
次は新古典主義の巨匠ドミニクアングルの「ドーソンヴィル伯爵夫人の肖像」・・
基本の二等分割線が目の位置に重なることがよくわかります。
新古典主義の巨匠と言われるようにアングルは精密機械のように徹底した計算に基づいて配置しているように思えます・・
アングルのもう一つの作品をみてましょう。
こちらも同様に基本の調和分割線が目の上に重なります・・
そして背景の湖の水面がちょうど二分割する位置に描かれています。
この水平ラインは「アイレベル」という描く側の目線の位置。自分自身の目線も安定させることで
基本線がぶれずにすむ・・・これは見ることの大切な基本。
先ほどのセザンヌの画もアイレベル(緑の線)が想像できる・・・
それぞれの時代やある特定の巨匠を観察していくと、その特有の手法や好んで使った調和分割が
見えてきます・・・
ピカソさんやマティスさんなどの近代画家にも多く認められるように
制作過程で少しずつ構図を変えていきながら、最終的に最も手堅く効果的な方法に落とし込む・・・
その時代や画家自身を参与観察するように、主観的に作品をとらえていくことで自然と見る力が養われ、
技術の裏にある表現力を磨く土台になる・・・
これは忍耐力も鍛えてくれる。
試行錯誤を伴うアプローチは、見返りのしるしとして巨匠の秘密を解き明かしてくれる。
そのエッセンスを浸透させていくことでサロンワークにキレとコクが出てくる・・
しばらくいろんな巨匠を見ていきたい。
続く
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