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私たちの追跡 Vol.31
一年の中で一番寒い時期・・
そんな中でも春の兆しを感じる花・・・「蝋梅」を
先日お客様からいただいた。
ロウバイはロウバイ科で中国が原産。
初春に蝋(ろう)でコーティングしたような質感の淡い黄色の花を咲かせる。
花の少ないこの時期にほんのり香り、花が咲いた後に葉が芽吹く。
そんな緑までもう少し・・・
前回の私たちの追跡で紹介した調和分割のテクニック・・・
一つは主題やオブジェクトを特定の調和分割位置に置くということ
もう一つは、人物の目の位置を調和分割に合わせる方法.
今回は、もう一つの、長方形の構図線に沿うように配置する方法。
自然界や人体のいたるところに見られる秩序だったデザインに比率が関係していることを
古代の人たちが発見し、その後の人たちによって理論になった。
その代表的な人がルネサンス期のアルベルティさん・・・
アルベルティさんの考え方は初期ルネサンスの建築家や画家、彫刻家に大きな影響を与えたと言われる。アルベルティさんは自分自身も作品をつくる人間として具体的に考え、自分の美学を絵画論で明確にした。
「その中で構図とは、正しい位置におかれたさまざまな面の調和のとれた配置のことである」
そんな言葉を残している・・
今回はそんなアルベルティさんから学び影響を受けた初期ルネサンスの画家、
ボッティチェリさん・・・・
昨年95億円で落札されたという「メダリオンを持つ若い男の肖像」。
この作品をを伊東美容室の月1デッサンで模写したときに
観察して気がついたことからの主観的追跡・・・・
顔とヘアの調和の関係を見ていこうと思います・・・
基本の構造は解剖学でいう、骨格の構造(Born Structure)を土台に調和分割していきます。
アルベルティ さんはオクターブ、5度、4度という耳に快い音程が、
弦の2分割、3分割、4分割(1/2、2/3、3/4)に相応すると考えた。
そしてこの音階の比率を造形芸術に応用し、特に建築の基礎として使われ、絵画にも使用された・・・
この調和分割を使った練習も兼ねて・・・
①まず肖像画の顔の輪郭がおさまる大きさの長方形を描きます(この場合縦横比3:2)
②長方形の向かい合うコーナーを結ぶ2本の対角線を引きます。
③対角線の交点は、垂直、水平方向に2分の1の分割を示します。
目が真ん中にあることがわかります。
肖像の顔の向きは斜めなので、長方形の枠から後頭部が若干出た状態になります。
次に青い線を引いていきます。
④最初に引いた赤い対角線と青い対角線との交点は
メインの長方形を3分割(青の水平線)します。
3分割する青い水平線が頭のハチ辺り、鼻先に引かれています。
次です。黄色の線を引きます。
⑤最初に引いた赤い対角線との交点ができ、長方形を2等分する水平線が
さらに2等分され、4分割されています。(黄色の水平線)
次に調和分割された構図線を利用し、髪の横幅と縦の長さを観察していきます。
⑥ちょうど全体の1/3になる鼻先の位置。
そこから左側の延長線上に髪の横幅があることがわかります。(左の青い太線)
次に右側の幅を見てみます。
⑦顎の延長線から伸ばした辺りに髪の横幅があります。(赤い太線)
次に、顎のラインより下にある髪の長さの位置を見てみます。
⑧黄色の線(太線含む)はベースの長方形の1/4を足した長さになっています。
①〜⑧を観察していくと基本の長方形から調和分割された構図線を使っているように想像できます。
そしてこれらをつなげていくと大まかな輪郭が見えてきます(緑のライン)
この肖像を模写デッサンした時、ボッティチェリ の数学的、科学的な精密さに驚いた。
現代はこのような構図線はコンピューターによって型として組み込まれている。
グラフィックや写真の編集などには、よく使われいて、人間の手によるものではない場合が多い。
だけどボッティチェリ の生きていたルネサンスに描かれた絵は驚愕するほどの精密さがあった。
なぜこれほどのことができたのか?
ボッティチェリ は15歳でフィリッポ・リッピに師事した。
140点の宗教的・世俗的な作品を制作。
アツベルティの「絵画論」を愛読していたと言われるが、
レオナルド・ダヴィンチの証言では芸術について理論だてすることは否定的であったという・・
1510年に死去し、作品は「ヴィーナスの誕生」とともに忘れさられた。
19世紀後半になってラファエロ前派の画家たちに再評価されたことで、研究が盛んになったという。
今回観察したのは、土台をつくる構図線。
ヘアデザインで言えば”ライン取り”。
フロントからサイド、バックにかけて
鼻先→顎ライン→肩上と関連付けていくような基本・・・・
技術はひとつひとつの基本の積み重ね。
そしてその技術の裏にある大切なもの・・・
この道の先に・・・
続く
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