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私たちの追跡Vol.32

季節を分ける時期。

2月はふきのとうの頃らしく、

先日も庭で採れたと言って、お客様から季節のたよりをいただいた・・。

 

冬眠から目覚めた熊は真っ先に蕗の薹を食べ、冬の間に蓄えた

脂肪を落とすのだといいます。

 

味覚を刺激して気分も体も引き締めるということは、人も熊も一緒だと感じつつ・・・・・

 

昔から言い継がれてきていることを、自然からのメッセージだと受け取り、

日常の中に取り入れてみたいですね・・・・

 

 

私たちの追跡32回目

 

今回も引き続きルネサンスの巨匠ボッティチェリ の作品を観察しなが

普段の観察に役立てていこうと思います。

 

去年この作品をスタッフみんなで模写デッサンした時の観察がエッセンスとして入っています。

 

 

「若い女の肖像テンペラ画 板絵(61×40 cm)  1475年頃制作

 

 

デザインがとても繊細で、横顔ラインが明確。

とてもに”理想化”した肖像だと言われる作品です。

 

横からの頭部のプロポーション見ていきます。

①顔の赤い点同士(鼻根から歯槽最前部)を結ぶ直線を引きます。

 

 

②顎ラインに水平な線を引くと、二つのラインが直角に交わります。

かたちや位置がキレイに整っている時は、そこにはきっと垂直と水平、直角が生じています。

 

 

③次に鼻の先端と顎先をつなぐ青い線を引きます。

 

 

この肖像のモデルは青い線の内側に口があるのがわかります。

この青い線の角度は人や人種によって違い、理想のかたちをつくる一つの条件だとも言われているようです。

 

自分や周りの人をチェックして、違いを知ると面白いものです・・・

 

 

④ 次に①で引いた2本と平行になるように頭部を四角で囲い対角線を引いて中心をつくります。

④中心に向かってさらに青い線を引き3分割、黄色い線を引き4分割します。

 

 

 

基本の分割(調和分割)ができました。

①で引いた線(骨格の構造)を目安にして分割線を引くことができました。

 

3分割した下側の青い水平ラインを見てみると・・・

後ろは髪、首、後頭部の膨らみの3つがちょうど交わるように配置されています。

 

前側はどうでしょうか?・・・・

延長線上に鼻先が配置されています。

 

髪のフェイスラインにかかる髪はどうでしょうか?

なんとなくですが青い対角線上に配置されているように思えます・・

 

黄色の線も使って見ていきましょう。

 

 

下側に引いた黄色の水平ラインと中心の赤い垂直線が交わる辺りに

髪のアウトラインが配置されています。

 

そのライン上には上唇が配置されています。

 

黄色の対角線はどうでしょうか?

 

なんとなくですが首のチョーカーと黄色の対角線の一つが平行になっているように見えてきます。

 

 

こうやって順を追って観察していくと、部分部分の配置はそれ一つだけでなく

他の部分との関係性でつくられているように思えます・・

 

 

 

 

一つ一つの位置や配置を見ていくことで、、基本のバランスが見えてきます。

 

 

古代ギリシャを再生したルネサンスも、理想のバランスは自然の秩序・・

 

この時代の人たちは、一つ一つのはからいに”願い”があったように思えた。

 

現代では、はからいは作為として、作り手の自我として見えてしまう・・

情報を模倣することが多くあって、

自然からの学びが少ないのだと思う。

 

 

昔の人や、日本の感性というは、自分が何かをしているということではなく

自然をきちんと受け止めることだったのだと思う。

 

人にとっての都合を考えないで、自然をキレイにすることが正しさだと信じていた・・・・

 

そういう願いは、時代が移り変わっても、人に何かを感じさせる。

 

その願いをかたちにすることが

人間がつくる自然の表現なのだとボッティチェリの追跡から 思えた。

 

 

 

 

 

 

続く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

横顔は正方形に近い横長の四角などで大まかな構造を見ていきます。