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私たちの追跡 Vol.46
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田んぼに水が張り、田植えが終わった少しの間に
「水鏡 みずかがみ」という現象が起きる。
苗が育ち水面が緑で覆われてしまうと、もう見ることができない。
光の当たり方次第でも、全く違って見える。
いろんなタイミングが重なると、瞬間的な幻想の世界に浸れる。
風流の初やおくの田植えうた
「田植え」は芭蕉が関越えの前後に好んだ題材だという。
人は年が経つにつれ、だんたんと自分のバックグランドを懐かしく恋しく感じることがあるらしい・・
西洋化される前の、昔の日本人が持つ美や自然観は
「遺伝的記憶」として残っている気がする・・・・
哲学者の和辻哲郎は「とき」と「ところ」という視点から風土、自然観を考察した。
「人間はかつて周囲の自然から引き離された白紙の状態にいたことはない」
日本の自然の美の醇化、理想化は日本の庭園だと和辻哲郎は述べている。
無秩序な荒れた自然のうちから秩序やまとまりを作り出すという努力が、
日本人をして造園術についての全然異なった原理を見いださしめた・・・
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自然を人工的に秩序立たしめるためには、自然に人工的なるものをかぶせるのではなく、
人工を自然に従わしめねばならない・・・
人工は自然を「看護すること」によってかえって自然を内から従わしめる・・・・
雑草を、あるいは一般に遮るもの、無駄なるものを取り除くことによって
自然はそれ自身のまとまりをあらわにする・・・・
かくして人は無秩序な荒れた自然のうちに自然の純粋な姿を探り求めた。
そうして、それを庭園において再現したのである・・・・
仕事そのものの意義においてはギリシャの芸術と
規を一にすると言ってよい・・」
和辻はそんなに風に語っていた。
古代ギリシャからつながる自然観や世界観は、西洋的な風土によって生まれた。
そして時の流れは、巡りめぐって、ヘアカットの美意識に影響し、そのインスピレーションの源泉は建築であった・・・
古代ギリシャは自然・本物、実在する生命から学び、人工的な自然をカタチにした。
その人間の手による創造物は、古代ローマ人によってシステム化され、再現可能となった。
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ヘアカットに影響を与えたと言われる建築家のコルビジェさんが
後世の人たちに期待していたことを勝手ながら汲むとしたら、
固有の風土によってもたらされる自然観から生まれた建築様式を大切にし
新たな創造をしてほしいということだと思う。
固有のもの・・・・・・・私たちなら日本的なもの、その地域ならではのもの。
それは日本の庭、庭園・・・・・
日本の庭園は建築の外にありながらも、実は内側との関係性、調和の関係ででき上がっている。
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それは空間の美であり、余白や間。
日常にあった風流という、自然と調和した流れ。
そしてその流れという動きを「生命と見立てた精神性」
目に見えない美・・・
そういった「変化と不変の共通感覚」こそ他とは違う源流を生み出すのだと・・・・
超主観的古典主義も
ようやく、ここにたどり着いた・・・・
続く