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私たちの追跡  2 Vol.1

コロナになり、さまざまなことに配慮しながら、

人とのつながりや、自分自身の在り方などを確認した方も多い、この数年。

 

生活を見直してみたり、将来を考たり、環境のことを自分ごとに感じたり・・・・

 

「私たちの追跡」もコロナ禍になりスタートし1年以上が経ちました。

書くことで、さまざまな人に支えられていることを実感する日々・・

本当に感謝です。

 

 

美容という部分から、あらためて自分の過去の視点に戻って、

見つめ直すことで、美術や歴史とのつながりを感じ

 

技術やクリエイティブ、教育、デザイン、コミュニケーション、健康など

これからの時代に生かすには、どのように再構築すればいいか・・・・

 

そんなことを考える、いい時間になり、1年以上が経つことで

最近少しずつ次の段階にうつってきた思う。

 

時代にはその時代の感性があると思う。

その感性とどう向き合ってきたかで、”その過去”はいつも新しくなる。

 

 

現在世界中の美容師の間で広く使わているヘアカットは

カタチの丸みや重さをつくるグラデーション、

その重さを取り除き軽さを加えるレイヤー、

まっすぐに長さを切りそろえるワンレングス・・

といった基本的技法とそれを支える哲学からなるカットの方法論・・・・

 

60年代初頭につくられた。

 

その方法論を誰よりも勉強し、世界のトッププレイヤーに登りつめたスターは

日本に帰国後、研究に研究を重ねて、独自の技法である「HAZUSHI」を発表した・・・

 

そのHAZUSHIのコンセプトはそもそも感性が出発点にあると言う・・

 

コンセプトメーカーはスターの夫人の感性である。

 

「例えば、誰が見ても可愛いと言われるような完全な美人に興味を待たないで、

普通の人たちから見たらあんまり可愛いと思えない人の中に、何か興味深い

魅力を見つけて、それを可愛いと感じる・・・・・・・いわゆる

西洋伝統型じゃない美意識が根底にあるわけ。媚びているようなのはダメなわけ」

(HAZUSHIより)

 

 

 

現代はそのHAZUSHIの技法により、昔のかたいヘアカットに比べて、

日本人にあった、自然で風でなびくような、動きのある髪型が可能になった・・・

 

そんなHAZUSHIは、90年代に美容をスタートさせた私の

感性美容の分母になっている・・・・

 

その世代は少なからず影響を受けた人も多いと思う。

91年に発売された「名曲」のミュージックビデオ・・・にも登場・・・。

 

 

 

そうした伝統型でない美意識は、伝統的なフィールドで活躍した人が

「ハズシ」たコントラストがかっこよかった・・・・・

 

だから「伝統型とハズシ型」の両方が大事だと思った。

忌野清志郎が日本語で”ロック”したのと同じように感じた・・・

 

 

 

ヘアカットの方法論ができる前は、スプレーで固めた装飾的な”セットのヘア”の時代だった。

そのヘアスタイルには、時代が求める機能性や動きはなかった。

 

だからこそ、働く女性が増えた時代に

洗った後もすぐにカタチが決まると言う”再現性”は革命的だった・・・

 

そういう”再現性”をつくるのには、従来の西洋伝統型の美意識は相性がよかった。

 

 

そして90年代、その人にしかない、その人らしい

「感性の美容」をつくるHAZUSHIが登場した。。

 

 

ちょうど中国から伝わった漢字が日本で万葉仮名にシフトしたように・・

 

上代に日本語を表記するために、

漢字の音(おん)や訓(くん)を借りて

和語に用いられた文字が万葉仮名だったという・・・

 

漢字をくずしていった結果、生まれたのが

日本独自の文字である平仮名(ひらがな)。

 

時代のつくる感性は、その時リアルタイムで俯瞰することができない。

 

だから30年くらい経った今だからわかってくる

90年代という懐かしい未来の面白さ・・・

 

 

西洋伝統型=中国漢字だとすると

 

主観的西洋伝統型

 

HAZUSHI=万葉仮名・・日本独自の文字

 

そんな風に感じて過ごしてきた・・・

 

 

主観的日本×エクトール・ギマール

 

 

90年代のHAZUSHIが万葉仮名くらいの位置付けならば

 

2022年以降、これからはさらに万葉仮名を草書風に崩して

簡略化した独自のカタチ・・・

 

「ONNADE=女手」を追跡したい。

 

 

そんな時代の夢の中にいるのだと思う。

 

 

 

 

続く