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私たちの追跡2  Vol.4

去年お店に飾っていた沖縄スズメウリのタネと交換したフウセンカズラの種が

 

この夏、涼しげな雰囲気を与えてくれる。

 

こういった物々交換は、地域ならではの「結い(ユイ)」という

 

 

農作業などで、互いに助け合う、人とのつながりを言うらしい・・・・

 

自然に育まれている風土的な素敵さ・・。

 

そういった風土的に育まれた価値観は固有のアイデンティティーを生み、

 

その社会の共通感覚になり価値観をつくっていくのだと思う・・・。

 

 

最近読んだ「進化を超える進化」という本には、美について

面白い視点の切り口が語られていた。

 

 

「・・・人類の進化のカギは

「火」「言葉」「美」「時間」の4つの要素がある。

 

4つの中でもユニークな存在だと感じられるのが

「美」・・・

 

まず「美」とは主観的なもので、特定の何かをさすものではありません。

 

私たちが何を美しいとみなすかは、ある程度偶然に左右されます。

 

別の言い方をすれば、美しいとされるものの多くは、私たちの生存にとって

何の意味も持ちません・・・

 

この無意味な物事に「価値」を与えるーーそれが「美」の本質です・・

 

その価値を守り、顕在化させるために極端な行動に出る。

 

それが、人の持つ特殊性なのです・・・・・・」

 

 

その通りで、「美」はユニークなもの。

 

世阿弥も風姿花伝で

「花と面白きと珍しきと、これ三つは同じ心なり。・・・」

 

と伝え、さらにその心を継いだ現代の能楽師武田宗典氏は

「花を見つけようとする心、花に気づく心がさらに大事」だと言う。

 

 

日本画家の上村松園は「眉」について美を感じていた。

 

 

昔は眉も女性の髪や帯と同様に、そのひとの階級をあらわすものだった。

著書「青眉抄」にはこんな風に書かれている。

 

「私はもちろん美しい新月のように秀でた自前の眉に美と愛着を感じているが、

 

その秀でた美しい自前の眉毛を剃り落とした

 

あの青眉にたまらない魅力を感じているひとりなのである。

 

 

 

青眉というのは嫁入りして子供ができると、必ず眉を剃りおとしてそうしたものである・・」

 

 

こうした身だしなみや、色彩、格好により何かを象徴し、意味付けをする。

 

価値を顕在化し、誰にでもわかりやすい共通言語にすることで、

人と人の関係をつくりやすくする、非言語のコミュニケーション。

 

だから「美」はユニークなのだ・・・。

 

 

 

また別の視点で、技術者、職人として、身が引き締まる思いが「青眉抄」には書かれている。

 

 

「美人画を描く上でも、いちばん難しいのがこの眉だろう・・

 

口元や鼻目ことに眉となるとすこしでも描きそこなうと、とんだことになるものである。

 

・・・細すぎても、太すぎてもならず、わずか筆の毛一本の線の多い少ないで、その顔全体に

 

影響を与えることをしばしば経験する・・」

 

 

先人が残した美の種。

 

できるだけ丁寧に収穫していきたい。

 

 

続く