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私たちの追跡2 Vol.5

先日キース・ヴァン・ドンゲン展を見に汐留のパナソニックミュージアムへ・・。

44年ぶりの日本での個展ということで、もうこれだけの作品数を一度に見ることはないかもしれない。

 

先週観たリヒターも90歳を超えても活動していて、ヴァンドンゲンも91歳まで描き続けた。次回がもし44年後ならば

私も90歳。いろんな経験が少しずつ貴重になってくるのだ思う。

 

音楽や読書、絵画はその時その時の心の状態によって感じ方が違ってくる。山の頂上から見た景色と登山中、下山中に見た景色とでは感じ方が違うように、自分の人生のステージでも違ってくる・・・

 

女性の存在という普遍的テーマを描き続けたヴァンドン。出身であるオランダでレンブラントや17世紀絵画を学美、ゴッホの作品も集めていた時期があるという。前に「オランダの光」というドキュメンタリーを観た時、オランダという風土ならではの光が印象的だった。水面に差し込む光やその反射による強い光が独特な色と、中間色(灰色)を生む出すというものだった。

その風土から生まれる光がオランダの「ハーグ派(灰色派)」を生んだ・・・

宮崎駿氏も昔アニメーターになるならば自分の絵描きとしての「風土性」がなければ正しい判断ができない・・・と語っていた。そんな風に思いながら、”魔法のような色彩”と言われた所以はどこにあるのか?っと思い観察していた。

オランダからパリに来たヴァン・ドンゲンの表現はマティスやブラマンクと共にフォービズムと言われ強烈な色彩表現だった。ルネサンス以降から続いた伝統から離れたその時代の表現者たちはパリに集結し、各々が自分だけの表現を追求した。そのエコール・ド・パリの画家の一人としてヴァンドンゲンのスタイルは人気だった。

20世紀のファッション界のピカソと言われたポール・ポワレと共にコルセット外した女性のエレガンスとファションの魅力をさまざまなに表現した。上流階級の女性やキャバレーのギャルソンヌ、娼婦、物乞いをする夫人・・・・どんな女性の存在にもそこにあるのは、生きる表現。

見たままを描くのではなく、心で感じた感情を色彩と形態を使って生きた表現にすること。

マティスが言うように大切なの「表現」なのだと言うこと。人とは違う自分の表現を追求すること・・・

フランス流の人権を尊重し、違いを愛し、「個人」に対する寛容の精神がきっと「表現」へのエネルギーになっているのだと思う。

続く